にきび

にきびは治療すればよくなる病気です


にきびニキビといえば「顔をよく洗って放っておけばいい」とされた時代も一昔前まではありましたが、ニキビは治療せずに置きますとかなりの場合一生消えないニキビあとが残ってしまいます。そのため治療しなかったがために何年、何十年も残ってしまったニキビあとに悩まされてしまう人があとを絶ちませんでした。

しかし今では世界で最も多く使われているニキビ治療薬が保険でも使うことができますし、保険診療だけではうまくいかない場合は保険外の治療も駆使してかなりの方の悩みを解消することができるようになりました。
ニキビあとになってから後悔しないためにも、たかがニキビと軽く見たり、あるいはあきらめたりせずに早めに治療を受けることをお勧めします。

ニキビの原因は何?

1. ホルモン的要素
ニキビ発症には男性ホルモンが重要な役割を果たしています。男性ホルモンは脂腺を発達させ多くの皮脂を合成・分泌させます。
血液中の男性ホルモンのうち1~2%の遊離離テストステロンという物質は皮脂細胞内の5α-リダクターゼによって 最も活性の強いジヒドロステロン(DHT)に転換され皮脂の産生を促進させます。DHTへの変換が5倍以上促進されています。


2.  角化異常
不適切なスキンケアや不十分なクレンジングをおこなっていると毛穴がふさがれ、中に皮脂がたまってきます。狭くなり、過剰に生産された皮脂は出口から外に流出されず、 皮脂は毛穴の中に貯留して面皰(白ニキビ)形成が始まります。


3.  細菌の増殖
人の毛穴の中に常在菌と呼ばれる菌が生息しており、アクネ菌もその一種です.誰もが持っている肌の常在菌です。アクネ菌はポルフィリンという代謝物質を出しますが、活性酸素はたまった皮脂を遊離脂肪酸や過酸化脂質に変え、周囲の細胞を傷つけて炎症が起きていきます(赤ニキビ)。
従いまして攻略のポイントとしては毛穴の出口の古い角質を取り除くことと、繁殖した細菌を殺すことにあるわけです。


ニキビ攻略のポイント

1.  毛穴のつまりを解消する
このためには
朝夕洗顔料を使って洗顔する
まずは毛穴の出口につまってきた古い角質や汚れを洗い落としてしまいましょう。
夜はお風呂に入った時には洗顔料を使うのですが朝は水で洗うだけという方が意外と多いようです。
ニキビ予防のための洗顔の回数は一日二回が最も適切とされています。洗顔料は古くなって固くなってきた角質を柔らかくする働きのあるフルーツ酸入りのものを使うとよいでしょう。ご希望の方には院内で購入することもできます。


規則正しい生活
不規則な生活は肌の新陳代謝も乱してしまいます。
適切な睡眠をとり疲れをためないようにしましょう。


バランスのとれた食事 
野菜、フルーツなどを含めバランスの取れた食事を心がけましょう。肉や、魚も大切です。
チョコレートやナッツを食べるとニキビができやすいと一般的には言われていますが、特にそのような科学的な根拠はありません。ただしあまり多くとりすぎるとバランスの取れた食生活とは言えなくなり、肌のコンディションを乱す可能性はありますので気を付けましょう。


外用治療 
それでも毛穴が詰まりやすい場合には、それを解消する外用剤がありますので医師の指示のもと使用してみましょう。

イオウカンフルローション
イオウカンフルローションとはイオウとカンフルが混ざった、ニキビの治療に用いられるローション状の塗り薬です。イオウには角質を柔らかくする作用、脱脂作用、殺菌・殺虫作用があり、硫黄の匂いがあるのが特徴です。カンフルは消炎作用、鎮痛作用があります。いずれもニキビに対して効果がある薬剤です。

ニキビは毛穴付近の厚く硬くなった角質層が毛穴の出口をふさぎ、排出されるべき皮脂がつまることで発生します。このつまった皮脂をエネルギー源にアクネ菌が繁殖すると炎症が起きて赤ニキビとなり、つまった皮脂が固まるとコメドと呼ばれ、毛穴に完全にコメドが埋まっている白ニキビや毛穴の出口が少し開いていることでコメドが酸化し黒くなった黒ニキビになります。また、思春期は毛穴周囲の角化がなくても皮脂の過剰分泌が起こりやすく、皮脂の放出が間に合わずにつまって思春期ニキビになってしまうことがあります。

イオウカンフルローションを塗布することで毛穴周囲の角質をやわらかくし炎症を抑えます。さらに毛穴内の皮脂を分解し、アクネ菌などを殺菌することでニキビを抑えていきます。思春期ニキビの原因である皮脂の過剰分泌を抑制することもできます。

副作用としては肌が乾燥することがあげられます。皮膚の乾燥が原因で起こる大人ニキビには逆効果になる可能性があります。乾燥が原因で起こる赤ら顔(酒さ)の方にも乾燥は大敵です。その場合は保湿をよくして、肌の状態を整えることを優先します。

ご使用方法は1日2回、洗顔後保湿をしてから塗っていきます。朝は上澄みを、夜は容器をよく振って混ぜたものを綿棒にしみ込ませ、ニキビに丁寧に塗っていきます。

ディフェリンゲル(アダパレン)
ディフェリンゲルは目に見えない極めて小さい毛穴のつまりやはじめにできる白や黒のコメドと呼ばれるニキビに作用し、ニキビの進行を防ぎます。この初期段階のニキビの治療することで、炎症をおこした赤いニキビを減らし、炎症の強いニキビへの進行を防ぐことができます。特に思春期ニキビの80%に効果が期待できます。

使い方としては1日1回、就寝前に洗顔した後、顔だけに使用してください。タイミングとしては化粧水・乳液などで保湿した後になります。指に出し、ニキビを含む周囲全体に面で外用してください。使用後は必ず手を洗いましょう。

このお薬には副作用などに注意が必要です。ターンオーバー(肌の生まれ変わり)を促進して角質角栓を取り除く作用がありますので、塗り始めは乾燥、落屑、紅斑、皮膚不快感、掻痒感などの症状が現れることがあります。症状が強い場合は1日置きなどで使用し様子を見るようにしてください。あまりに症状がひどい場合は使用を中止し、医師に相談しましょう。また、妊娠中、授乳中の方は外用できません。

ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
ベピオゲルの作用としては、まずニキビの原因菌であるアクネ菌などを殺菌・除去することで赤みや腫れを改善します。つまり抗生剤に近い働きをするのですが、他の抗生剤と違って耐性菌の発現(抗生剤を長期間使っていると薬が効かない細菌が増えてしまうこと)報告がなく、既存の抗生剤耐性菌に対しても抗菌作用を発揮します。また、角化した皮膚をやわらかくし、角層の剥離を助けるためディフェリンやイオウカンフルローションに近い働きも期待できます。それによって赤ニキビ、白ニキビ、黒ニキビすべてを減少させることができます。

使用方法はディフェリンゲルと同様、一日一回夜、洗顔保湿後に決められた患部にだけ塗布します。

ベピオゲルもディフェリンと同様、角質剥離作用がありますので副作用が現れる可能性があります。症状がひどい場合は医師に相談しましょう。

エピディオゲル
ディフェリンゲルとベピオゲルの合剤です。両者を2重塗布するよりも高い効果が期待できるといわれ、耐性菌やニキビ予防の観点からも長期継続使用するのに理想的な外用薬といえます。ただし、副作用の発現も2倍になると考えられるため、当院ではまずディフェリンやベピオゲル単独使用で副作用の発現が見られなかった方のみ処方することとしております。

使用方法はディフェリン、ベピオと同様に1日1回夜外用となります。


2. 毛穴の中の細菌をへらす
赤くなってしまったニキビでは、アクネ菌を中心とする細菌が増殖しています。抗生物質の入った外用剤や、場合によっては内服薬を使用し細菌を抑制します。
赤くなったニキビを放置すると生涯にわたって残る傷跡になる可能性がありますので早期に治療する必要があります。


ニキビあとになってしまった場合は?

一旦赤いニキビになってしまうと、治療してもしばらくは色素沈着が残ります。ただへこみなどはなく色素沈着だけの場合は数ヶ月しますとほとんどの場合完全に消えてなくなってしまいます.問題なのは色素沈着だけではなく、盛り上がりやへこみをのこしている場合で、このような変化は通常一生のこるものになってしまいます。これらの治療にはフラクショナルレーザーという機器やイントラセルと呼ばれるラジオ波を使った方法が有効です。
詳しくは当院美容専門サイトをご覧ください。