皮膚のメラニン色素が抜け落ちてしまう病変で、その名の通り皮膚に白い斑点ができてきます。メラニン色素を作る色素細胞が減ってしまうのが原因です。なぜそのような現象が起きるのかはまだ不明ですが、自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫という現象が関与すると考えられています。
主に3つのタイプがあることが知られています。
全身型 全身のあちこちに白い斑点が生じてきます。
部分型 全身ではなく体の一部にのみ白斑が生じます。
文節型 やはり体の一部ですが、左右どちらかの部分に集中して白い斑点が出てきます。
1. 紫外線治療 (ナローバンドUVB)
尋常性白斑は非常に治りにくい疾患です。以前はステロイドの外用やPUVA療法という紫外線治療が行われていましたが、なかなか効果が得られませんでした。
最近はナローバンドUVB治療という紫外線治療が有効であることがわかり、当院でも多数の方に行い効果を上げています。
この方法は紫外線の中でも皮膚の疾患の治療に効果があることがわかっている特定の波長の光線を選択的に照射する治療法です。
照射する時間は数秒から1から2分程度で比較的短時間で治療を行うことができます.当院では白班の方に関しては通常のナローバンドUVB治療ではなく有害な波長の紫外線を除去したエキシマライトというターゲット型の治療器を使用し、通常のナローバンドUVB治療より高い効果を得ています。
2. 尋常性白班の植皮術
尋常性白班は治りにくい皮膚病ですが、ナローバンドUVBやエキシマライトの照射によりかなり改善させることが可能になりました。
しかし左右どちらかの体の一部の色素が抜けてしまう分節型の尋常性白班に関しては必ずしも有効性が高くなく、なかなか改善されないケースもあります。そのような場合にはメラニン色素を作る細胞を含む健康な皮膚を別の場所から直径1ミリ程度採取し、白班の部分に田植えのように移植していく方法が有効です.色素細胞がなくなってしまった部分に色素細胞のタネをまいていく方法で、術後さらにエキシマライトで色素細胞を刺激して増殖を促します。はじめは小さかった肌色の皮膚が徐々に大きくなり、やがて白斑全体を覆うようになっていきます。
通院、部分麻酔で行うことができます。各治療法でどうしても改善できない場合にお勧めしています。
白斑はその外観からQOL(quality of life)に著しい影響を及ぶ疾患です。
お悩みの方は是非これらの治療を受けられることをお勧めします。
主に両ほほの上半分から三分の一くらいに左右ほぼ対称にぼんやりとした色素斑が広く全体にみられる状態です。
それ以外にもおでこや上唇(男性の口髭の部分)にもみられることがあります。
女性に多いですが、男性にみられることもあります。メラニン色素を作る色素細胞が活性化されてしまっている状態で、ホルモンバランスや紫外線、化粧などの時に皮膚が摩擦されたりすることが原因と考えられています。
対策としては日焼け止めをしっかり外用することやお化粧の時に患部に摩擦を与えないことが大切です。
さらにはトラネキサム酸の内服も有効で通常1から3か月程度で徐々に効果が表れてきます。
以前、肝斑にレーザー治療を行うと悪化するので行ってはいけないことになっていましたが、最近はごく弱いレーザーを繰り返し照射しメラニンの皮膚からの排出を促すレーザートーニングという方法が行われるようになり効果を上げています。
この治療を行えるレーザー機器は限定されていますが、当院のレーザー機器はこの治療を行うことが可能で、満足いく結果をあげています。詳しくは当院美容専門サイトをご覧ください。
年齢とともに顔には様々なシミができてきます.代表的なものとしては
別名、「日光性色素斑」とも呼ばれ代表的なシミの1つで、長年にわたり紫外線を浴び続ける事によって生じる老化現象によって現れてくるシミです。顔面や手の甲、腕など日光がよく当たる部分に多く発生します。40歳以降好発しやすいですが、 若い頃から日焼けした人ほどできやすく、20歳代でもできてしまうことがあります。
名前の通り、「雀の卵の模様に似たシミ」で、そばかすとも呼ばれています。直径2~3mmの小さく茶色いシミが、日光のよく当たる部位、特に両頬から鼻にかけて分布します。遺伝傾向があるもので、3歳頃から出現し、思春期に目立つようになります。
これらはいずれもレーザーや光治療、あるいは外用治療によって改善させることが可能です。
詳しくは当院美容専門サイトをご覧ください。
いずれもVビームⅡによるレーザー治療が保険適応になります。
保険適応になる血管腫には単純性血管腫とイチゴ状血管腫の2つがあります。
単純性血管腫
ポートワイン母斑とも言われる「赤あざ」の1つです。肌の表面近くにある毛細血管が拡がる病気です。生まれつきのものが多く、顔の中央にあるもの(サーモンパッチ)や後頭部中央にあるもの(ウンナ母斑)は薄くなることが多いのですが、その他の部位にある変則なものは消えることなく、大人になると色が濃くなったり、厚ぼったくなったりすることがあります。
イチゴ状血管腫
乳児血管腫とも呼ばれ血管その他が局所的に増殖している「赤あざ」です。生後1ヶ月くらい~出てきて、その後盛り上がり表面がイチゴの様になります。小学生までに自然に消退することも多いのですが、盛り上がりやたるみ、キメの違いや傷跡が残る場合があるので、なるべく早期(生後1ヶ月から)に治療することをお勧めしています。
*酒さとは
肌の表面にある血管が広がっている状態で、加齢や紫外線と様々な原因でより目立ってくると言われています。お酒を飲んだように赤くなってしまうので酒さともよばれています(お酒は関係ありません)
室内外の温度差が激しくなる冬になると血管の調整機能がくるって血管が開きっぱなしになってしまうことがあります。進行するとニキビのような丘疹や膿疱を伴うようになり、火照りやムズムズした痒み、ヒリヒリ感やつっぱり感などの自覚症状が強くなります。
原因
酒さのはっきりとした原因は不明ですが加齢、紫外線、ストレス、寒暖差、食生活、アルコールなどが皮脂の分泌過多やニキビダニ増殖による炎症、血管拡張をきたすと考えられています。
治療
〇保険治療
外用
●保湿剤外用
肌の水分量減少は皮脂の分泌を助長し、酒さを悪化させる要因になります。
適切なスキンケアで肌を整えることが重要です。当院ではヘパリン類似物質やプロペトなどを処方しています。
●ロゼックスゲル
メトロニダゾール外用薬は抗原虫薬でニキビダニの増生を抑え、酒さへの効果が認められ2023年より保険適応となりました。
内服
●マクロライド系抗生物質
皮脂の分泌を抑制するなど肌の調整機能を整える効果が期待できます。
数週~数か月にわたる内服が必要です。
抗生物質なので耐性菌の問題や副作用の観点からずっと継続することはできないので軽快したら一旦中止し、再燃したら再開します。
●漢方薬
温径湯などが有効です。ただし上記の抗生剤よりマイルドなので長期間服用していただくことになります。
レーザー治療
線状に浮き出た毛細血管拡張症は保険内でVビームレーザー治療の適応になります。(3割負担で8,000円程度~)
ただし火照りや痒みが強い症例で一度に表層の血管を破壊した場合、中に熱がこもってしまい熱感や痒みが増悪することがあるため、上記の症状が強い方はまず内服や外用である程度軽快してからご案内することもあります。
〇保険外治療
●日焼け止めの使用
屋外に出る際はもちろん屋内で過ごす時も日焼け止めは毎日塗るようにしましょう。
窓越しから入ってくる長波長のUVAが酒さの悪化因子とされているため屋内にいるときも要注意です。
朝のスキンケア後に塗布し汗をかく場合には日中に塗り直すことをお勧めします。
●ビタミンB内服
ビタミンBは脂質の代謝を促す酵素の働きに欠かせないものです。顔の皮脂分泌を整える作用もあるため酒さや脂性肌のニキビの方にお勧めしています。保険処方薬のフラビタン(ビタミンB2)は販売終了となったため、当院ではより質が良く吸収率にも優れている医療機関限定サプリのMB-Xを推奨しております。
●レーザー治療
Vビームフェイシャル
保険適応のVビームレーザー治療では毛細血管拡張部分のみを狙い撃ちするピンポイントの治療です。毛細血管拡張がなくなった後も広範囲にモヤっとした赤みが残る症例では低出力のVビームレーザーを全顔に照射するVビームフェイシャルが適応となります。びまん性の赤みを徐々に改善させ、火照りにも効果があります。
【Vビームフェイシャル 症例写真 2回照射後】
Vビームフェイシャルの詳細はこちら
レーザーピーリング
ロングパルスYAGレーザーを使用するこの治療は難治性ニキビの治療に用いておりますが、皮脂の分泌を抑える効果があるため皮脂分泌過多による赤ら顔にもお勧めしています
。痛みやダウンタイムのないマイルドな治療のため5~10回の照射が必要です。
【レーザーピーリング 症例写真 9回照射後】
レーザーピーリングの詳細はこちら
*酒さ様皮膚炎とは
顔面にステロイド外用剤を長期間使用することによって生じるものとされています。
ステロイド外用剤の使用をやめたからといってすぐに症状が軽快するわけではありません。
症状の多くは鼻下やアゴなどの口周りの症状が強く、丘疹をともなう赤ら顔となります。
酒さと酒さ様皮膚炎は厳密に分けることは難しく、近年は両者を同一疾患とみなすことが多くなっています。
*治療法
●原因外用薬の中止
外用薬を中止してから数日は赤みやほてり、むくみ、乾燥、ジュクジュク感、皮膚のはがれるなどのリバウンド症状がおこり症状が増悪します。少し辛いかもしれませんが一過性のものなので時期に落ち着きますので根気強く保湿でのスキンケアを続け、ステロイドは塗らないように頑張りましょう。あまり辛いときは医師に相談してください。
●内服薬や外用薬は酒さの治療と同様のものを選択します。
*毛細血管拡張とは
皮膚表層に血管が浮き出て線状に見える状態です。高度のものは保険内でのレーザー治療の適応となります。(3割負担で8000円程度~。面積によって値段は変わります)保険治療の場合、2回目の照射は3か月以上開けて照射します。